[未知の不安、既知の恐怖]

-東日本大震災-



. 3.11に日本を襲った悲劇。
1000年に1度の自然の災禍と、
危うく進んだ文明への容赦なき洗礼。

なんと悲しきこと、なんとつらきこと。
戻らぬ人、物、家、景色。穏やかな日常。
あの日以前に、時を巻き戻したい。
叶わぬなら、せめて今すぐ解決してほしい。
いいえ分かっている、遠く長い復興と解毒の道程。

地球のそこここで、災害は繰り返されている。
けれど、自分もその当事者の1人となるまでは、
かくも他人事であったことよと今更ながら思う。

自然の大きな流れの中で、私たちは生きるしかない。
文明を作ってきたこの秀でた知恵を集め、
災厄を予測し、策を練り、備えるしかない。

自然の裁定は、慢心を蹴散らしていく。
姑息な隠蔽も、責任の押し付け合いも、無意味なこと。
報われるのは、未来へ向けた賢明な努力だけだろう。

想像を超えた悲惨さは、私たちの心に刻まれ、
哀悼の意と共に、深い恐怖を呼び起こす。
長引く不快は、予想のできぬ居心地の悪さで、
私たちを不安の虜(とりこ)にする。

恐怖も不安も抱えたままで、
力強く1日1日を生きていこう。
命までもは奪われなかった者である、私たちだから。
この日本を、未来へと繋げていかなくてはならない。
誰かの命がある限り。


2011.4   

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